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桜井総合法律事務所

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“※ただし個人差があります”は免罪符? (打消し表示の問題点について)

2020/10/29(木)

 

Q この美容液に含まれる成分は効能評価立証済みですし、“※ただし個人差があります。”ときちんと広告に掲載すれば美容液の効果をうたっても問題ありませんよね??

 

A    打消し表示とは、強調表示(事業者が、自己の販売する商品・サービスを一般消費者に訴求する方法として、断定的表現や目立つ表現などを使って、品質等の内容や価格等の取引条件を強調した表示)からは一般消費者が通常は予期できない事項であって、一般消費者が商品・サービスを選択するに当たって重要な考慮要素となるものに関する表示をいいます。“※ただし個人差があります。”は典型的な打消し表示の例です。

 

景品表示法は一般消費者が誤認するおそれのある表示を規制するものです。

 

そのため、打消し表示の内容は一般消費者が正しく認識できるように適切な表示方法で表示される必要があります。

 

具体的には、打消し表示の文字の大きさ、強調表示の文字と打消し表示の文字の大きさのバランス、打消し表示の配置箇所、打消し表示と背景との区別などから総合的に判断されます。この判断にあたっては、全ての媒体に共通する要素とともに、各媒体(ex.動画、web広告等)で特徴的な要素について留意が必要です。

 

では、適切な打ち消し表示を用いさえすれば絶対に景品表示法違反にならないのでしょうか。

 

答えはノーです。

 

消費者庁の打消し表示に関する実態調査報告書によると、打消し表示は、強調表示は一般消費者認識きない例外条件、制約条件等ある場合に例外的に使用されるきものある。“とされています。

 

そもそも打消し表示は例外的な場合に限って使用すべきなのです。

 

したがって、適切な形式で使用するとしても強調表示と打消し表示とが矛盾するよう場合は、一般消費者に誤認され、景品表示法違反となるおそれがあります。

 

広告は自社商品の魅力を不特定多数の人に知ってもらうことのできる有効な手段です。そのため、広告を打つことを過度に萎縮する必要はありません。

 

お客様と気持ちの良いお取引をするためにも、判断に迷う場合には、一度知見のある弁護士に意見を求めることも有益だと思います。

 

 

【参考資料】

 

・打消し表示に関する実態調査報告書 (H29/7消費者庁)

https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_180921_0001.pdf