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桜井総合法律事務所

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アフィリエイト広告を活用した成長戦略

2021/04/30(金)

アフィリエイト広告における登場人物は大きく分けて、広告主、A S P、広告代理店、アフィリエイター(・インフルエンサー)の4者です。A S Pとはアフィリエイトサービスプロバイダーの略で、広告主とアフィリエイターをつなぐ役割を果たしています。すなわち、自社商品を宣伝したい広告主と、商品を宣伝し報酬を得たいアフィリエイターの両者がA S Pに登録し、A S Pが仲介の役割を果たし、3者が密接に繋がることになります。また、広告代理店はその3者の要望・思惑を調整してハンドリングするハブのような役割を担っています。

 

実際に広告を作成するのはアフィリエイターであり、広告主ではありません。ですから、アフィリエイターがいわゆる誇大広告により、薬機法、景表法、健康増進法に違反した場合であっても広告主は無関係であるようにも思われます。

 

しかし、それは大きな間違いです。というのも、広告主には「広告原稿の用意」、「広告掲載の許可」、「報酬の支払い決定」という3つの権限があり、結果として問題のある表示を行わない・行わせないことができます。広告主は、その権限の裏返しとして、アフィリエイターが問題のある広告を掲載している場合には、その掲載を許可したものとみなされ、責任を負う可能性があるのです。

 

では、広告主はどのようにアフィリエイトを運用すれば良いのでしょうか?

 

その答えのヒントは、アフィリエイトの構造(前述のような4者の関係)にあります。すなわち、広告主はA S Pを通じてアフィリエイターの紹介を受け、広告代理店などの力を借りながら利益を実現するところ、広告主としては信頼できるA S Pや広告代理店を選ぶことが重要です。また、A S Pはアフィリエイターの管理もまたその役割であるところ、A S Pの中にはサイト審査やパトロール、アフィリエイターに対する教育・啓蒙、悪質サイトの提携解除といった取り組みを行っていない者も存在します。広告主がそのようなA S Pからアフィリエイターの紹介を受けた場合には、当然不適切な広告による広告主の責任リスクが増加することになります。

 

以上のことからすれば、広告主としてはまず①信頼できるA S Pや広告代理店を選ぶことが重要であり、それに加え②不適切な表示をしているアフィリエイターとは提携しない③アフィリエイターの不適切な広告がないかパトロールする④アフィリエイターに対してASPや広告代理店を通して案件ごとの注意事項を共有する⑤違反サイトに対しては提携解除や報酬支払い拒否といった措置を取ることが重要です。

 

アフィリエイト広告が有益であることは紛れもない事実ですが、法律とモラルを守り健全に運用する必要があります。そして、広告主としては、アフィリエイターの広告内容によって自己が責任を負う可能性があることを自覚し、信頼できるアフィリエイター・A S P・広告代理店と共に成長していくという意識を持って運用することが重要であると考えられます。

 

弊所は、広告主、広告代理店、A S P、アフィリエイター(・インフルエンサー)の4者とそれぞれ法律顧問として継続的にお付き合いさせていただいており、この分野に精通しております。どうぞお気軽にご相談ください。